「ものかきが知っておくべき著作権の基本と常識」弁護士│石川裕子先生

こんにちは!

出雲企画広報スタッフのはなです。 

 

今回は、「書く仕事」をする上で知っておきたい著作権の基本と常識についての講義レポートをお届けします。

「著作権」という単語を聞いただけで法律関連の話は難しくてわからない…と敬遠しがちですが、「書く仕事」とは切っても切り離せない問題。

「必ず押さえてほしい」という野口真代先生の強い想いから、今回の講義が開催されました。

著作権の基本から事前アンケートに基づいた質疑応答まで約2時間、受講生にとって学び多き時間となりました。

  

│概要

イベント名:「ものかきが知っておくべき著作権の基本と常識」

講師:石川裕子弁護士

日時:2022年9月18日(日)11:00~12:30

対象:オンラインコミュニティ「ものかきキャンプ1期生」「ものかき大学」受講生

形式:Zoom

 

 │講師の紹介

弁護士 石川裕子

かまがや総合法律事務所所属。弁護士歴4年目。高校3年生の夏、祖母の死をきっかけに弁護士を目指す。大学進学するも親の借金問題により中退、働きながら通信で大学卒業。大学院へ進学。働きながら司法試験を受け、5回目の試験で合格(36歳)。

元税務大学校の非常勤講師(民法)→対象:国税庁の職員

クリエイター向け(写真・動画)著作権セミナー、相続セミナーなどセミナー実績多数。

 

 

│そもそも「著作権」とは何か?

講義のはじめに、著作権を侵害した場合に発生する3つの問題が紹介されました。

「損害賠償請求(民法709条)」「作品の差し止め請求(著作権法第112条1項)」「刑事罰(著作権法第119条)」

刑事罰については最大10年の懲役、最大1000万円の罰金、法人最大3億円の罰金となるそうです。

 

このような事案に遭遇しないためにも、クリエイターとして著作権侵害をしていないか、また著作権侵害をされていないかを理解しておくことはとても大切です。

 

ただ「著作権」というのはとても曖昧なものでもあるそうで。

著作権の観点からは適法となっても、倫理・道義的に問題があれば使用できなくなるとのこと。

この辺りの判断が、素人では難しいのかなと感じました。

 

例えば、YouTubeのゲーム実況。

著作権法の観点からは、音楽や映像の著作権法違反。しかしゲーム会社にしてみれば、ゲーム実況によってゲームに興味をもってもらえる利点があります。

そのため「YouTubeならアップロードしてもよい」などの利用規約が個々に設けられていることもあります。

 

著作権を理解し、倫理・道義・社会的規範を踏まえた上で、利用規範を確認する必要があるのです。

 

少し難解に感じはじめた「著作権」ですが、ここで図解が示されました。

   

 

こちらの図解でもわかるように、「著作権」は知的財産権に属しています。

 

目的と対象は下記のとおり。

 

  • ●著作権法の目的:クリエイターの権利を守ることと文化の発展
  • ●権利の対象:著作物等に関する著作権と隣接著作権

 

では最も気になる「著作権侵害」にあたる事例にはどのようなものが該当するのでしょうか?

 

 │「著作権侵害」にあたる事例とは?ライターが理解しておきたい「著作権侵害」

 

著作権侵害にあたるかどうかは、下記の4つの項目から考えます。

  • ●著作物にあたるのかどうか?
  • ●保護期間内にあたるのか?
  • ●著作物の利用行為に該当するのか?
  • ●著作権が制限される場合かどうか?

 

なんだか覚えきれないな…と思っていたところでフローチャートが出てまいりました!

このフローチャートで確認すれば「著作権侵害」にあたるか、そうでないかの判断ができそうです。

 しかし、ここで少し疑問がでてきます。

そもそも「著作物」にあたるものは一体何なのでしょうか?

 

その他、著作物には音楽やダンス、絵や写真はもちろん、最近ではプログラミングしたコードも著作物になるそうです。

また「二次的著作物」についても説明がありました。

 

例えば、小説を映画化するという場合の著作権。

小説を書いた著者が著作権をもつのはもちろん、映画化した映画の著作権も小説を書いた著者に発生。さらに映画化してキャラクターグッズを販売する場合、映画化した映画の関係者だけでなく、小説を書いた著者の許可も必要となるのだそうです。

 

受講生たちも、ゆくゆくは小説を書いてそれが映画化されるようなことがあれば、著作権者として多くの権利を有することになります。夢が広がります……!

 

次に「保護期間」について。

保護期間は原則著作者の死後70年。70年が経過した著作物は著作権が消滅するので、誰でも自由に複製・出版・転載ができるようになります。

 

知的創作物について、著作権をはじめとする知的財産権(知的所有権)が発生していない、誰でも利用できるものが「パブリックドメイン」と呼ばれるものです。また、著作者が著作権を放棄した場合も同様に「パブリックドメイン」になります。

 

著作権が発生している期間中に作品を利用する場合には、当然、著作者の許可を得る必要があります。

 

その「著作権」。実は多くの権利で構成されていてややこしいのですが、石川先生がわかりやすく、かわいい手書きの図解を示してくださいました。

 難しい法律用語が並んで頭がパンクしそうだったので、受講生の表情も少しゆるみました。

 

著作権は、何かを作成したと同時に「著作財産権」「著作者人格権」が自然と発生するもの。どこかに登録する必要もありません。なんと、小学生の書いた作文にも著作権が生じているとのこと!

 

そう考えると「著作権」はすごく身近な権利に感じられてきますよね。

 

では、Webライターとして最も気になるところでもある「著作権侵害」にあたらないのはどのような場合なのでしょうか?

 

それは「誰かの許可を得なくても使用できるもの」

 

例えば、私的複製や付随的利用、検討の過程における利用などです。そして、文章を書く際の「引用」もそれにあたります。

 

 

│「引用」を理解する!押さえておくべき5つの条件

 

「今日はこれだけ覚えて帰ってください」

 

やや疲れてきた受講生を察してか、石川先生からこのようなメッセージと共に「引用」について要点をまとめたスライドが表示されました。

 

 引用は、主従の関係が大事

自分の文章が引用部分の文章より多い必要があるなど、量のバランスが重要です。

 

これらのこと全てを覚えるのは難しいですが、「引用」には上記5つの条件があるということ、またそれにあたるかどうかを考えるという思考回路をまずは身に付けてほしいとのことでした。

 

その後、受講生の事前質問に対して約1時間にわたり、石川先生から回答がなされました。

多くの質問が寄せられる中で、ライターとして既に活動している受講生から次のような質問もあありました。

 

例えば、ダウンロードした画像の使い方、引用・参考の使い分けや書き方について、どのように判断すればいいのかというもの。

 

この場合、その画像をどこからダウンロードしてきたのかがポイント。

石川先生からは「著作権者の許諾がない場合は、前述した引用の5つの条件に当てはまるかどうかで判断する必要があります」との回答でした。

 

前述した「引用の5つの条件」はしっかり押さえておきましょう!

 

│「著作権」の基本を押さえてWebライターとして更なる飛躍を!

「書く」ことを仕事にするWebライター。

自分の身を守る上でも、必ず押さえておきたい「著作権」の問題を詳しく学べた今回の講義でした。

 

これまで疑問だったことや何となく不安だった問題が解消したことで、今後のライターとしての活動がさらに広がっていくのではないでしょうか。

 

今後の受講生の活躍を、こちらでご紹介できる日が楽しみです。

 

次回のイベントレポートもお楽しみに!